[Squeak-ja: 4638] Re: K*BUG 2012/04/21のむとう発表「FreeBSD port lang/squeak4.4.7-2375への道」について

Kazuhiro ABE abee.abe @ nifty.ne.jp
2012年 4月 27日 (金) 17:55:22 JST


阿部です。

2012年4月23日10:15 Takeshi MUTOH <mutoh @ openedu.org>:
> 教育向けといえば、 Scratch に大分とシフトしてきているような印象があります。
> Scratchの熱いところと言えば、以下のような感じなんでしょうか?
> - 色々なハードウエア (Physical Computing環境)が使える

熱いところは、子供たちに時間と空間を超えた自己表現の機会と場所を提供したことです。
実のところ、Scratchコミュニティにおけるフィジカルコンピューティングは極めてマイナーです。
MITのScratchフォーラムには多数のトピックがあり、今日現在で1,137,151件のポストがありますが、「Connecting to
the Physical World」フォーラムのポストはわずか1,584件で、わずか0.14%に過ぎません。
これにはいろいろな理由が考えられますが、遊ぶためにまずハードウェアが必要なことが影響していることは間違いありません。

> -- なのぼ〜どなどを、各地のMake 系のイベントで展示
> -- WeDoの代わりを安価に構成できる

これらの活動はこの状況を変えるために行なっていると言っても良いかもしれません(入手性、コスト、事例)。

> - 各地での教育現場での利用例が増えてきている
> - Scratch Dayが2012/05/19ともうすぐ

雰囲気としては、2002年の「未来への教室」放送当時のSqueak Etoysの状況に近くなってきたかもしれません。
ScratchのEtoysに対するアドバンテージはいろいろありますが、子供たちにとって、特殊で複雑な概念や操作が少ないこと、導入を容易にする仕掛けがシステム自体に組み込まれていることが大きいと思います。これらは、Scratchチームがコンピュータークラブハウスを運営することで得られた知見からフィードバックされたものです。
http://llk.media.mit.edu/projects/scratch/ScratchSneakPreview.pdf
今年度から、長年Etoysを使ってきた杉並区和田小学校の土曜楽校の環境を、ついにScratchに切り替えたのですが、その効果は劇的でした(サポートのコストが激減、子供たち自身による発展や教え合いが増加)。
思想的な面におけるEtoysの特徴として、メタメディア、パーソナルダイナミックメディア、すなわち暫定版ダイナブックであることがありますが、残念ながら、現場ではこれを理解した上での活動はほとんど行われませんでした。そうであるなら、Scratchで十分です。一方で、子供たちによるSmalltalkを使ったScratchの改造(mod)を見ていると、すでに暫定版ダイナブックとして機能しているとも考えられます。
このあたり、ソーシャルメディアを指向して、Flashに切り替わるScratch 2.0でどうなるか興味深いところです。

 //abee
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阿部 和広  EMAIL abee @ squeakland.jp


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